これは、私がニコスカードの支払いを長期にわたって滞納し、いわゆるブラックリストに載ってしまった時の体験談です。特別な事情があったわけではありません。少しの油断と、「なんとかなるだろう」という甘い考えが、気づけば取り返しのつかない状況を招いていました。今、同じように支払いに悩んでいる方、督促の連絡にどう対応すればいいか分からずにいる方に向けて、私の経験が少しでも参考になればと思い、この記事を書いています。

知らない番号からの着信、そして無視

すべては、スマホが鳴る回数が増えたことから始まりました。知らない番号からの着信が、日に日に増えていく。最初は出ていたんです。「どちら様ですか?」と。でも、相手が「三菱UFJニコスの者ですが」と名乗った瞬間、頭が真っ白になって、しどろもどろな言い訳をして電話を切ってしまいました。

それからです。知らない番号からの電話に、一切出なくなったのは。お金がないのに、電話に出て何を話せばいいのか分からなかった。でも、相手もプロです。着信は止まるどころか、03で始まる番号、0570のナビダイヤル、いろんな番号を使って、あの手この手でかけてきます。スマホが鳴るたびに、心臓がドキッとする。そんな毎日でした。

ポストを開けるのが怖くなった日々

電話を無視し続けると、今度は郵便物が届くようになります。最初は普通の封筒でした。中には「お支払いのご案内」といった、まだ柔らかい表現の紙が入っているだけ。でも、それすらも開けるのが億劫で、机の引き出しに突っ込んで見ないふりをしていました。

状況が変わったのは、赤い文字で「重要」と書かれた封筒が届くようになってからです。明らかに、これまでとは違う。中には「督促状」と、はっきり書かれた書類が入っていました。滞納額に加えて、遅延損害金という見慣れない項目が追加され、金額が少しずつ膨らんでいる。その事実が、重くのしかかってきました。

ある日突然、カードはただのプラスチックになった

滞納から2ヶ月が過ぎた頃、ついにその時が来ました。ある日、オンラインで買い物をしようとした際に、いつものようにカード情報を入力しても、決済エラーではじかれてしまったのです。何度か試しても結果は同じ。その時、ふと嫌な予感がしてカード会社の会員サイトにログインしてみると、「このカードはご利用になれません」という趣旨の表示が。事実上の、強制解約でした。

これが、いわゆる「ブラックリストに載る」ということの始まりでした。信用情報機関というところに、私の名前と「支払いを長期滞納した」という事実が記録されてしまったのです。手元にあるカードは、もうただのプラスチックの板になりました。

その後の生活と、失ったもの

カードが使えない生活は、想像以上に不便でした。ネットショッピングはもちろん、月額制のサービスも次々と止められました。何より困ったのは、新しいカードが一切作れないこと。スマホを買い換えようとしても、分割払いの審査にすら通りません。車や家のローンなんて、夢のまた夢です。

これまで、自分がいかに「信用」という目に見えないものの上で生活していたのかを、思い知らされました。現金があれば生活はできます。でも、ふとした瞬間に感じる社会からの断絶感のようなものは、常につきまといました。

最後に、もし同じ状況の人がいたら

この話が、誰かの役に立つかは分かりません。でも、もし昔の私と同じように、支払いに困って督促の連絡から逃げている人がいるなら、これだけは伝えたいです。

とにかく、無視だけは本当にやめたほうがいい。状況は1ミリも良くなりません。むしろ、時間が経つほど悪くなるだけです。電話に出るのは気まずいし、怖いと思います。でも、一本電話をして「今は払えないけど、支払う意思はある」と伝えるだけでも、相手の対応は変わってきます。

それでもどうしようもなくなったら、弁護士や司法書士といった専門家に相談するのも一つの手です。今は無料で相談に乗ってくれるところもたくさんあります。一人で抱え込まず、誰かに話すこと。それが、きっと再スタートの第一歩になるはずです。